仕事中、私の席の真後ろに設置してあるコピー機を頻繁に使う同僚に迷惑してる。その同僚は呆れるほど頻繁にコピー機を使う。「一度で出せよ」と言いたくなるくらいに、行ったり来たりを繰り返す。「仕事だから仕方がない」では済まされない、仕事だからこそ、効率よくするべきだろう。まったく、これでは落ち着いてネットが見れないだろう、仕事中の唯一の楽しみを邪魔するなと言いたい、そんな私の日常は・・・、
私が働いている日雇いの現場で今、静かなる女性同士の派閥争いが繰り広げられている。
男の私としては、ただ傍観する以外にすることはないのだが、こちらに飛び火してくるとなれば話は別問題だ。
私が初めてこの現場に入ったときには、既に派閥は存在していた。
一応、紹介すると、以下の三派閥になる。
武闘派・・・ベテラン勢で構成されている仕事の出来る人たちで、社員も頭が上がらない存在。
実際にこの人たちが居ないと現場がまわらない。
仕事に対する熱量も凄いので、いい加減は許されない。
それが例え社員であろうと関係ない、容赦なく噛みついていく。
ただ、仕事が遅かったりミスをしても、真面目に働いていれば多少は大目に見てくれる寛大さもある。
のらりひょん・・・仕事は出来るが武闘派に属せず、ゴマをすって、ちちょうどいい楽なポジションをキープしようとする人たち。
香ばしレディ・・・その名の通り、つまり、変わり者の集まり、だけど人柄はよくて憎めない人たち。
以上の派閥が武闘派を頂点にして、絶妙なバランスで共存していた。
だが、ここにきてその武闘派の逆鱗に触れる、
「仕切りたガール」
なる派閥が現れた。
まぁ仕切りたガールと、言ってはみたものの、当たり前だが年齢はアラフォー過ぎの〇〇さんたちだ。
仕切りたガールは、読んで字の如しなのだが、仕事面で見ると、
「まるでダメダメ」
な連中である。
仕事ができないのに、自己評価が高いので、人に指示されるのを嫌う、結果、
「だったら自分で仕切っちゃえ」
的なノリの派閥だ。
当然これに対して武闘派が牙をむくのは自然なことだ。
正直なところ、
「武闘派の圧勝でしょ」
くらいの気持ちで傍観していたのだが、ここにきて、二つの争いに触発されたのか、のらりひょんが香ばしレディに突如牙をむいたために、私の立場が極めてまずいことになった。
私は今まで武闘派と香ばしレディとはいい関係を築いていた。
正直のらりひょんの人たちには、いい印象を抱いてはいなかった。
と、いうのものらりひょんの人たちは、香ばしレディの面々を快く思ってはいなくて、私が初めて現場で作業したとき、面倒を見てくれた人がのらりひょんの人だったのだが、開口一番、香ばしレディの悪口を散々に叩き込まれて、それを鵜呑みにしてしまい、一時期距離を取ってしまったくらいだ。
しかし、現場にも慣れてくると、香ばしレディの人たちは確かに変わっているのだが、何よりも気さくでフレンドリーなため、自然と話すようになり、距離がぐんと縮まった。
そうなると、のらりひょんの人たちにたいする私の態度にも変化が現れる。
別に敵視するわけではないが、自然と距離を置くようになってしまった。
そんな矢先に武闘派と仕切りたガールの争いが勃発。
飛び火で香ばしレディも巻き込まれてしまう。
しかし、事態を悪化させたのは他でもない香ばしレディの人たちだった。
彼女たちは、上記でも書いたが、変わり者だが、気さくでフレンドリーな人たちなので仕切りたガールとも仲良くしてしまったのだ。
しかも仕切りたガールの方も、香ばしレディが与しやすい相手と見るや、積極的に距離を縮めてしまう。
つまり武闘派+のらりひょん対仕切りたガール+香ばしレディという対立構図になるが、香ばしレディは基本的にどことも、
「敵対しているつもりがない」
ので、普通にどの派閥にも話しかけたりしてしまう。
それが、火に油を注ぐ行為に他ならないのは自明だ。
そうして派閥同士の争いが激化すれば、当然、私たち男性陣も巻き込まれてしまう。
私としては当然、武闘派は敵に回したくない、かといって香ばしレディの人たちを敵視する気にもなれない。
どうせならのらりひょんと仕切りたガールが敵だったらどんなにスッキリしたことか。
しかし、現実はそうはいかの金玉・・・というわけで、私も態度を決めなければならなくなる。
ちなみに、男性陣全員が武闘派は敵に回したくないという考えで一致している。
となると残りはどうなるか?
ここで圧倒的だったのがのらりひょん派だった。
これには私は驚いた。
そして仕切りたガールと続く。
「え?」
思わず、わが目を疑うとはこのことなり、まさかの香ばしレディ派が完全にマイノリティになってしまっている。
そのマイノリティに私は入ってしまっている。
今、私はのらりひょんのメンバーから、露骨にスルーされるようになった。
それは正直構わないが、問題は武闘派がどう出てくるかということだ。
しかし武闘派のメンバーが、真面目に仕事をこなしている私に対して何らかの行動に出るとは考えにくい。
さらに、
「私は武闘派のリーダーの一人と仲が良い」
このことだ。
なんて、大福よりも甘く考えていた私にスクワット1000回させてやりたい。
じつは、数週間前から、私に対する武闘派の人たちのアタリが明らかに強くなっている気がする。
それに以前は、私に対する作業指示は前もって教えてくれていたのに、今は、こちらから聞かない限り教えてくれない。
完全に放置状態になってしまっている。
さらに、歳も近くて、仲良くしていた男性のパートさんにも避けられている気がする。
「どうして、こんなことに・・・」
答えは簡単だった。
仲の良かった武闘派のリーダーが来ていないのだ。
他の人に話を聞くと、
「家庭の事情で休みのシフトを変えた」
らしい。
「マジですか」
これはヤバイ、非常にヤヴァイ。
リーダー不在となると代わりの人・・・、
「のらりひょんと仲のいい人ジャマイカ!!」
もう、ギャグですか、本当に勘弁してください。
「どうする私・・・」
選択肢は二つ、
「この現場を去るか、このまま耐えるか」
これしか思いつかない。
今さらのらりひょんの人に接近するのも却って逆効果になりそうだし、何より、そんなことをしてまで、この現場に残りたいとは思わない。
もう、正直、毎週、気分が重い。
こんなに現場に行きたくないとおもったのは、初めてのことかもしれない。
「やめだ、やめだ」
私は、派遣会社に別の現場はないか確認してもらった、
「〇〇クロさんの現場が空いてますよ」
との返答。
・・・、
・・・・・・、
「考えるまでもない、却下だ!!!」
〇〇クロさんの現場は前に三日間ほど入ったことがある。
これといったトラブルもなく働くことが出来たが、
「私たち日雇いは囚人じゃないんだぞ!!」
と言いたくなるほどの監視体制が敷かれている。
普通に働いていれば問題はないが、勤務時間中、ずっと気を張りっぱなしの状態を強いられるのはどうかというところだ。
これは、まさしく、
「進むも地獄退くも地獄」
状態だ。
「どうする私・・・」
と、悩んでいたのが嘘のようだ。
今、私は楽しく働いている。
いや、今まで以上に楽しい。
派閥争いも終結したとは言い難いが、このまま収まりそうな気配になっている。
どうしていきなりこんなことになったのか?
それは一人の救世主が現場に現れたからだ。
その名は、
「しゃあ」
だ。
以前、彼については、『圧倒的な力の差を見せつけられる私』で書かせてもらったが、なんと彼が、他の現場で社員さんと喧嘩して出禁になってしまったので、こちらの現場にくることになったのだ。
現場初日、早々にしゃあが、のらりひょんのリーダーと仲良く話している。
驚く私に、
「前に別の現場で一緒に働いていたんですよ」
と、アッサリ。
さらに、しゃあは初日こそ、その実力をセーブしていたが、慣れてくれば彼のリミッターが解除されて本領を発揮する。
と、同時に彼の効率中という本性があらわになる。
そうなると、仕事ができない仕切りたガールとぶつかることになる、というか衝突した。
結果、仕切りたガールのリーダーをやりこめてしまった。
具体的には仕切りたガールのリーダーが仕切ろうとしたら、
「そんな非効率なことをしても時間がもったいなので、俺は先にこっちを処理します」
と、一刀両断にぶった斬る。
それからも、ことあるごとに仕切りたガールの仕事の仕方を全否定したために、他の日雇いの人も、
「従わなくても問題ないんだ」
という認識になり、仕切りたガールは急速にその力を失っていく。
こうなると仕切りたガールは、
「ただの仕事ができない集団」
という本来の姿が露見して、完全にお荷物扱いになってしまった。
その後、仕切りたガールのメンバーは一人辞め二人辞めと、次々に現場から姿を消していき、残ったメンバーはひっそりと、目立たない用に仕事をするようになる。
こうして、派閥争いはほぼ沈静化してしまう。
私個人は、救世主しゃあと仲が良いということで、自然と武闘派のメンバーの対応も元に戻り、ストレスなく働けるようになった。
相変わらず、のらりひょんのメンバーからはスルーされているが、そんなことは痛くもかゆくもない。
しかし、本当にしゃあという男は凄い、
「人材不足でお悩みの企業様、こんな優秀な男そうそういないですよ」
と、言いたいところだが、
「居なくなると、色々と私が困ってしまうので、このまま日雇いで・・・」
なんて自己中心的な考えをしてしまう私。
本日のBGM:モノクローム / BENNIE K このBGMは、話の内容とは一切関係ありません。ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです



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