CIAのマット(ジョシュ・ブローリン扮演)はメキシコの麻薬王アラルコンを抹殺すべく、アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ扮演)と極秘作戦を計画するが、CIAが国内で活動するにはFBI捜査官の立ち会いが必要なため、独身のFBI捜査官ケイト(エミリー・プラント扮演)を利用することにする。何も知らされないまま、現場に放り込まれ、予想外の現実を目の前にして戸惑うばかりのケイトを尻目に、CIAのマットとアレハンドロは着々と任務を遂行していく。
男たちの熱気で画面が歪むほどの本作で、紅一点のエミリー・プラントは、前年に出演した「オール・ユー・ニード・イズ・キル」では、女性ながら軍の英雄という扱いで、トム・クルーズを相手に一歩も引かない堂々たる勇姿を見せてくれたが、本作でも優秀なFBI捜査官として、真の通った女性を演じているが、今回は相手が悪かった。
マット&はアレハンドロという超クセつよキャラがいるので、彼女が小娘のように見えてしまう。
キャラの個性は強みではあるが、もちろんそれだけではない本作。
とにかく凄いとしかいいようがない。
観る側に余裕を与えず、絶えず緊張感を強いる演出に、徹底して無駄を排除したリアル感。
この作品を一言で表現するならば、
「タフな映画」
だと言える。
本作はジャンルとしてはサスペンスに分類されているみたいだが、アクション映画として十分に、いや、この作品のリアル感満載の銃撃シーンを観てしまったらもう引き返せない。
今までの映画の銃撃シーンが完全に過去になってしまう。
それぐらいリアルで容赦がない。
撃って相手が倒れたら死亡を確認するし、なんなら手っ取り早く、もう一発撃ちこむ、といった徹底ぶりではあるが、
「そもそも、撃ちもららさない」
確実に相手を殺す。
これぞプロフェッショナル、麻薬カルテルのチンピラごときが、
「勝てるわけがない」
そんなプロ集団のなかにあって、異彩を放つのが、イケメンメガネことスティーヴ・フォーシング、演じるのはジェフリー・ドノヴァンで、とにかくカッコいいし、そのプロフェッショナル感漂う演技は秀逸だ。
本作の緊張感を醸し出すのに一役買っていることは間違いない。
そして、われらがアレハンドロ。
孤独を身にまとい、無表情の中にも哀愁が漂うのは、検察官時代、麻薬王アラルコンに妻子を殺害されてしまい復讐の暗殺者へと変貌を遂げた過去が彼をそうさせている。
実は本作の原題は「シカリオ」となっていて、メキシコ語で暗殺者をあらわす。
つまり、アレハンドロのことで、ケイトは主役ではあるが、あくまでもアレハンドロの復讐の物語ということになる。
容赦ないアレハンドロの凄まじさは、観るものを圧倒する。
麻薬王アラルコン抹殺の任務を遂行しようとするアレハンドロを阻止しようとして、アレハンドロに銃を向けて構えるケイト、と、次の瞬間、躊躇することなくケイトを撃つアレハンドロ。
鳥肌もののシーンだ。
息をつく間もない。
そして迎えるクライマックス、麻薬王アラルコンの妻とまだ小さい子供二人を本人の目の前で撃ち殺し、最後にとどめを刺すという冷酷さを発揮します。
「ここまでやるか・・・」
と一瞬、言葉を失うほどの迫力。
だけど、彼の戦いは終わらない、その孤独な戦いは続編へと続く。
続編ではケイトのケの字もなく、完璧にアレハンドロの独壇場となるのだが、続編はアレハンドロのキャラ頼みな内容になってしまい、本作にあった緊張感がだいぶ薄れてしまい、悪い意味でエンタメに寄せすぎた感があるのが残念。


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