騒音問題に苦しむ私パート2

私の日常

仕事中、上司と雑談をしていたのだが、その上司、声が小さいうえに、ボソボソと話ので、聞き取れないことが多々ある。
もちろん、上司相手に、
「はい?」
などと聞き返すようなことはしない。
得意の妄想力をフルに使い、
「全集中、外部音取り込みモードの型、耳ダンボ!」
などと、訳のわからない妄想をしていたら、完全に話を聞き逃してしまう、そんな私の日常は・・・、

前回『ソロスキー』の独り言に散々悩まされた私だが、彼の部署異動で騒音問題は解決、

「するわけがない!」

一難去ってまた一難のことわざとの通り、新たなる脅威が私に襲い掛かる。

今度の敵は『ガリガリくん』だ。

君付けで呼んではいるが、70歳過ぎの大ベテランだ。

70歳まで別の部署で働いていて退職したのだが『ソロスキー』の移動に伴い、職場復帰した形となる。

人柄は、

「無茶苦茶アタリの強い人だ」

部署に来て早々に、子会社の社員は全員何らかの理由で怒られている。

しかも、その怒り方は完全に昭和である。

パワハラ認定ギリ・・・アウトだと私は感じているが、今のところは誰も訴え出てはいないようだ。

日常会話ですら、ぶっきらぼうな物言いで、正直、話しかける気すらおきない。

幸いなことに『ソロスキー』の後任は別の人が担当しているので、私とは仕事上の接点はないが『ソロスキー』亡き後、その席にいるので、私の隣の席ということになる。

ちょっと前置きが長かったが、何の騒音かというと、

「飴玉を舐めずにガリガリとかみ砕くのだ」

しかも、結構大き目のサイズのやつだ。

これはたまったものではない。

「よくもまぁ、その歳でそんだけ噛めるな」

と、感心してしまうくらいに歯は丈夫なようだ。

とにかく、一日に最低でも20~30個は食べるうえに、仕事に詰まっているときなど、連続で10個くらい食べる。

「普通、飴玉は舐めると表現するのが適切だと思うが、舐めずにいきなりかみ砕いているので食べるとしか表現できない」

しかも、飴玉だけではなく、せんべいも、かりんとうもかじるし、なんだったら芋けんぴもかじる。

「音の出るものばかりかじるんじゃねぇよ!!」

と心の中で怒鳴ってみるが、カピバラ並みに温厚な私は黙って耐えるしかない。

しかし、さすがにこれには、周りの人も不快感を感じているらしく、ちらほらと私の耳にも不満の声が入ってくる。

されどベテラン、しかも、部長の新入社員時代の上司となれば、部長に苦情を訴えるわけにもいかない。

「どうしたものか?」

そこで、頼りない男性社員に代わり動き出したのが女性社員だ。

彼女たちは課に常備してあるお菓子を選んで買ってきているので、ある日を境に、せんべい、飴、が姿を消して、代わりに、ビスケットやクッキーといったものに変わった。

一部の年配者からは不満の声が上がったが、結局は『ガリガリくん』の騒音問題を解決するため、ということで納得する。

『ソロスキー』の独り言と違って、固いものをかじる音というのは、かなり遠くにも届く。

今や『ガリガリくん』の騒音問題は私個人の問題ではなく、課全体の問題となっている。

しかし、女性社員の奮闘もむなしく終わる。

じつは『ガリガリくん』常備しているお菓子も食べてはいたが、自前のお菓子も食べていたのだ。

そうして、騒音問題は何の解決策を見いだせないまま時間だけが過ぎて行った。

そんな、ある日、私は、日雇いの現場で面白い情報を仕入れた。

それは、

「かみ砕けない飴」

というものだった。

何でも、数年前のテレビで最も固い食べ物として紹介されていたというのだ。

さっそく、私はネットでその飴玉のことを調べてみると、確かに無茶苦茶硬いらしい。

その名も、

「ちゃいなマーブル」

とにかく、物は試しとばかりに、女性社員に話して『ちゃいなマーブル』を購入してもらう。

そうして『ちゃいなマーブル』が、課のお菓子かごの中にひっそりと置かれる。

このことを知っているのは、私と女性社員だけであった。

まぁ、

「わざわざ、周知するほどのことではない」

と、思ったからだ。

この判断が正しかったことが、数日後に証明される。

なぜなら、

「『ガリガリくん』を含む数名の社員が『ちゃいなマーブル』の餌食になり、歯を折ってしまった」

からだ。

被害者からは、苦情の声が上がったが、

「なんか、美味しいって聞いたから買ってみたの」

と、息を吐くように嘘をつく女性社員。

もちろん、私も知らない体を装う。

が、その後ろメタファー(後ろめたさ)たるや、とてもじゃないが言葉では表現できるものではない。

女子社員がどう感じているかは分からない。

なぜなら、休憩室で話していても『ちゃいなマーブル』がなかったことのように、互いにその話には触れないからだ。

私の後ろメタファーと引き換えに『ガリガリくん』の騒音問題は沈静化、

「するわけがない!」

ただ、さすがに懲りたのか、飴玉をかみ砕くのは止めたようだ。

「せんべいは相変わらずバリバリかみ砕くけれど」

まぁ、普通せんべいはかみ砕くのは当然なのだが、

「・・・どこかに一番硬いせんべい・・・」

本日のBGM: 雨予報 / Leola
このBGMは話の内容とは一切関係ありません。
ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです。

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