仕事中に、課全体で”改善提案”の件数が少ないとの一斉メールが来て、自他ともに認める”社蓄”の私は、それから、2時間仕事そっちのけで”改善提案”の件数を増やすべく奮闘して、結果、なんと7件もの提案をすることができた・・・そんな私の日常は・・・、
朝の通勤時に気になる”ゴリラ”がいる。
もちろん、本物のわけがない。
この記事では、
「”コング”」
の愛称で呼びたいと思う。
この”コング”歳の頃は、50代だろうか、私よりは歳下だと思う。
まぁ「目クソ鼻くそ」だろうが・・・、
顔立ちは、もう、言うまでもないでしょう。
背は165cmくらいで高くはないが、体の厚みが凄い、まさしくゴリラ体型だ。
毎日、苦虫でも噛み潰したように、不機嫌極まりない表情で座っている。
しかし、どことなく知的な雰囲気も感じられる。
服装に関しては、スポーツカジュアル系で、自転車のヘルメットを持っている。
私と同じで、最寄り駅から自転車通勤なんだろうとの想像がつく。
大抵、寝ていることが多いのだが、ある時、小説か何かを読んでいたので、気になって、
「何を読んでいるのだろう?」
と、降りる駅を間違えて、立ち上がった程を装って、上から覗き見たら、
「英語の本やんか」
と、驚いた。
それから、幾度ともなくチラチラと、視線が行ってしまう。
しかし、ここでおかしなことに気づいた、
「全くページめくってないじゃん」
そう”コング”は、本を開いたまま微動だにしていなかった。
結局、私が降りる時も、ページはそのままだった。
こうなると、私の好奇心は抑えが効かなくなる。
“コング”は何をしている人だろう。
それから、数ヶ月、私の粘り強い動物観察の結果、ついに”コング”の職業が判明した。
職業はズバリ、
「教師だった」
なるほど、どこか知的な雰囲気を感じるわけだ。
きっかけは些細なことだった。
そのきっかけとなったのが、同じ電車に乗る高校生の”プレデター”だった。
毎朝、私の向かい側の席に座り、楽しそうにスマホを見ている。
実は、この”プレデター”も私が気になる人物の一人だ。
どうして気になるのかって?
「顔面が”プレデター”だからに決まっているじゃないですか」
“コング”といい”プレデター”といい、赤の他人に失礼極まりないのは、重々承知の上で、あえてそう呼ばせてもらっています。
私も、自分のルックスには自信を持って、
「平均点以下!」
と、断言できるのですが、そんな私から見ても、
「二人とも・・・残念なんです」
そんな”プレデター”が、ある日”コング”の隣に座り、何か話しかけている姿を目撃したのです。
一瞬、
「モンスター・ヴァースシリーズ」
の最新作かと思っちゃたよ。
今まで、そんなことなどなかったのに。
その時は、まさかに”コング”が教師などとは想像すらしていなかったので、
「何か緊急な用件か?」
と、思ったのですが、驚くほど”コング”の態度はそっけなくて、
「それはないだろう」
と、関係のない私ですら”プレデター”に同情して・・・、
「あれ?」
ほぼ、相手にしてもらえてないにも関わらず”プレデター”は、我関せずとばかりに平気な様子で、そのま”コング”の隣に座り、スマホをいじっている、その隣で”コング”は明らかに迷惑そうな表情を浮かべている。
翌日からその光景が繰り返される。
ここまでくると、互いに顔見知りなのは間違いない。
歳の差を考慮すると、この二匹、いや二人の関係性は・・・、
「ひょっとして、先生と生徒の関係か?」
そんな、考えが頭をよぎる。
そして、決定的だったのが、ある大雨の日”コング”が、私と同じ駅で降りたことだった。
私が降りる駅には、私立学校のスクールバスがある。
そのバスに”コング”が乗ったのを目撃したのだ、途中、何人もの生徒から挨拶されている姿も見ている。
普段”コング”は学校の最寄り駅まで行って、そこから、自転車で通勤しているみたいだ。
ちなみに、私が降りる駅は、その最寄り駅から数駅手前になる。
どうしてそこまでわかるのか?
だって、
「スクールバスにデカデカと学校名が書かれているからね」
思わず、ググると、そこそこ偏差値の高い、中高一貫教育の学校ということと、最寄り駅からも、数キロ離れていることもわかった。
そこ、
「暇人」
などと、言わないように。
ちなみに”プレデター”は最寄り駅まで行って、そこからのスクールバスに乗っているみたいだ。
ん? どうしてわかるかって?
「学校名の入っているデイパックを持っているからね」
前置きが長くなってしまったが、その大雨の日から、数日後”コング”は自転車通勤をやめて、私と同じ駅で降りて、スクールバス通勤に切り変えた。
さらに、乗る車両も変えてしまい、私の朝の貴重な動物観察は終わりを迎えた。
まぁ、異星人観察の方は継続してできていますけどね。
一人ポツンと座っている”プレデター”に若干の同情を抱いてしまう。
心なしか寂しそうに見えるのは、気のせいだろうか?
そんなことを考えている間に、最寄り駅に到着して、電車を降りると、私の数メートル先を歩く”コング”の後ろ姿が。
通勤途中で、いくら一緒の電車だからといって、特定の生徒と親しくするのは、やはり、教師としては好ましくはないのだろうと推察した・・・、
「私がバカだった」
何と”コング”は違う車両に乗る女子生徒数人に囲まれて、楽しそうに会話をしながら、駅のホームを歩いているではないか、後ろ姿なので、その表情は見えないが、その分厚い肩が笑うたびに大きく上下する様から見て、多分、とんでもなく鼻の下が伸びているに違いない。
“コング”が人間の女性に恋してしまうのは、映画の話であって、リアルではない、
「まあ、そもそも”コング”なんていないし、私が勝手にそう呼んでいるだけなんですけどね」
私は瞬間的に、車内にいる可哀想な”プレデター”の方に目を向けると・・・、
「凄まじい笑顔で大爆笑してやがる」
その、壮絶な笑顔に思わず、
「コイツ、自爆装置のスイッチ入れてないだろうな」
と、少し不安になり、足早にその場を去る。
本日のBGM : STARLIGHT / iri
このBGMは、話の内容とは一切関係ありません。
ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです。


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