たまの休みに浮かれてしまう私

私の日常

仕事中に、いきなり妄想のスイッチが入ってしまった私は、

「こんなことではいけない」

と自分にムチを入れるが、妄想をやめたとたんに、猛烈な眠気に襲われる。

妄想で眠気を醒ますか、妄想をやめて素直に眠りにつくか、究極の二択を迫られる、そんな私の日常は・・・、

何度も書いていることだが、私は週7で働いていて基本的に休みがないのだが、年に数回だけ休みを取っている。

と、いうか、日雇いの現場が稼働していないだけのことだけれどね。

とにかく、その貴重な休みは映画を観に行って、ささやかな外食を楽しむのがいつものパターンだ。

「気分転換のため、たまには違った休日もいいのではないか?」

と、日雇いの作業中、不意にそんなことを思いつく。

早速、帰りの電車の中で、数か月先の休日の予定を考える・・・、

「よし、立川立飛の“ららぽーと”で映画を観て外食しよう」

・・・何か問題でも?

私は“ららぽーと”と“TOHOシネマズ”大好き人間なので、千葉と東京の一部は制覇している。

そして、残りを全て制覇するのが私の残された人生の目標・・・、

「ではないな、まぁ、行けるならば行こうくらいの気持ちで・・・」

とにかく、立川立飛の“ららぽーと”と

“TOHOシネマズ”には行ったことがないので、丁度いい、しかも運がいいことに観たい映画も公開される予定だ。

後は・・・、

「資金調達だけだ!!」

立川立飛は立川駅から歩いていける距離にあるのだが、問題は立川駅までの交通費だ。

調べたところ往復で2600円ほどかかることになる。

「おいおい、いつものところなら、映画とお昼食べてもお釣りがくるぞ」

と、軽いめまいを感じつつも、

「断固たる決意」

を持って貫き通す覚悟を決める。

資金調達だが・・・、

「有休を使って日雇いの仕事を入れる!!」

まぁ、そうなるよね、他に稼ぐ方法はないし。

と、いうことで、チマチマと有休を取って稼いだお金を手に、私は某日、立川へと旅立った。

のは、いいが、立川までの道のりは予想以上に苦痛を伴うものだった。

「敵は乗車時間にあり!!」

そう、問題は100弱の乗車時間だった。

乗換があるとはいえ、ホーム乗換の為、待ち時間はたったの2分。

カップラーメンすら作れない時間しかなく、後はひたすら電車に揺られていなければならない、腰痛持ちの私には拷問に等しい。

「なら、立てよ!」

と、言う声が聞こえてきそうだが、

「どあほう、新宿とかを通る超通勤ラッシュの時間帯だぞ、立っても別の地獄が待っているわ!」

とにもかくにも、腰の激痛に耐えながらも、どうにか立川駅に着き、目についたファミレスに入り、メニューを開くと、いきなりシロップがたっぷりとかかったパンケーキが・・・そのあまりに暴力的なメニュー写真に私の視線はくぎ付けになる。

それは、初めてエロ本で女性の裸を見た時以来の衝撃だった。

それに追い打ちをかけるように、メニュー写真の下の方には全く読ませる気が感じられない、小さな文字で暴力的なカロリーが表記されている・・・しかし、今日の私はいつもの私ではない、

「カロリーなんて一切無視だ!! 今日はもう、どうなってもいい」

と、

「刹那的な恋に落ちたみたい」

などと、そんなくだらないことが頭をよぎるが、私の手は、目にもとまらぬ速さで端末を操作して注文を済ませてしまうと、

「今日はカロリーという名の恋人と心中するつもりだから、ほっといてくれ」

と、自らに言い聞かせるように心の中でつぶやく。

パンケーキを心ゆくまで堪能した私は、かつてないほどに満たされた気分のまま、映画館に向かう。

立川立飛の“TOHOシネマズは、こぢんまりとした感じではあるが雰囲気はよく、これから観る映画への期待を盛り上げてくれたが、

「サブスクに落ちても観ることはないな・・・」

と、今日の私の気分のさながら「清々しい」までに外れだった。

しかし、今日の私はそんなことではイラつかない、この後、ネットで調べたラーメン店にいくのだから、

「お腹を空かせるにはちょうどいい、時間の映画だった」

などと、自分を納得させて、立川駅の方へと向かう。

目的のラーメン店に着いた私は、恐る恐る店内を覗く。

と、いうのも過去に人気のラーメン店に行き、

「一見さんお断り」

みたいな空気感に、すごすごと店を出てしまった臆病者だからだ。

だから、この店もネットで入りやすい店なのか、その辺を入念にリサーチした上で、この店に決めた。

「ここで時間を潰していたら次の予定が・・・」

と、半ばあきらめムードで店に入ると、すぐに私を後悔させるためだけに存在しているとしか思えない“券売機”が、

「一見さんお断り」

と、無言の圧力をかけてくる。

「たかが券売機だろ?」

と、お思いのそこのあなた、

「メニューが“琥珀”と“パール”だよ? ラーメンかどうかもわからないじゃん」

私は、肝心のラーメンのことを一切調べずに、店の評判と入りやすさしか調べていなかったことを、海よりも深く反省した。

しかも、この券売機どう見ても・・・、

「Pay Payマネーが使えないじゃないか!」

えーと、残念ながら、ここは勇気ある撤退ということで。

私は日ごろから現金を全くと言っていいほど持ち歩かないので、これからわざわざコンビニでお金を下ろしてくる、という選択肢は存在しない。

「あざっした」

と、心の中で一声かけて店を出ようとすると、

「お客さん電子マネーですか?」

と、店員さんが声をかけてくる。

瞬間、有難迷惑という言葉が頭に浮かぶ。

だが、川に落ちた葉っぱのごとく流されやすい私は、

「・・・Pay Payは使えますか?」

と聞いてしまう。

そして、右も左もわからない子供のような私に、

「琥珀は醤油で、パールは塩ですよ」

と、サルでもわかるように説明してくれる。

この時、私は何か見えざる力によって、しゃべらされたかのように、

「パールでお願いします」

と、普段絶対に食べない塩を選んでしまう。

しかし、席に案内されて、出された水を一気に飲み干すと、

「これも何かのお導きかもしれない」

と、素直に受け入れることにした、

「私がバカだった」

ただの塩ラーメンならいざ知らず、魚介だしのため、その濃厚な匂いに、光よりも早く食欲を失う私。

私は“トレーニー”なので、魚の良質な油を取るために、蒸しても焼いても、刺身でも食べたりするし、それらは好きな方だ。

だけど、魚介の生臭さだけは克服できない、いや、するつもりもない。

だから、刺身を食べるとき、ワサビを親の仇と言わんばかりに、これでもかとつけて食べる。

店を出た私は、

「競歩の選手か?」

と、思えるほどの速足で駅の方へと向かい、目に入った“ミスタードーナツ”に飛び込み、ドーナツを七個とコーヒーを注文して、女子高生や有閑マダムに交じって、一心不乱にドーナツを貪る。

食べ終わり、一息ついたところで、ダンディに口の周りを紙ナプキンで拭う。

その際、頭の中では海外ドラマ“スーツ”のハービィ・スペクターがドーナツを立ち食いして、口元を拭うシーンを思い描いていたのは言うまでもない。

「まぁ、私とハーヴィ役のガブリエル・マクトを重ねて想像をすること自体、神をも恐れぬ所業だけどね」

とりあえず、甘いものでお腹が満たされた私は、立川散歩とシャレこんだ。

近未来的な街づくりに感心しながらも、ふとっ、目線を遠くにやれば、関東山地の山々が見える、そのアンバランスが妙にこの街と癒合しているように感じられて、至福の時間を過ごしていると、あたりもすっかりと暮れてしまい、そろそろ帰らなければならない時間になる。

後ろ髪惹かれる思いで立川を後にする私。

「帰りも電車がつらいなぁー」

などと、つぶやきながら電車に乗り込む。

翌日、というか日付が変わった午前十二時過ぎ、私はまだ家についていない。

私の乗った電車が、

「〇を轢きやがった」

ために、運転再開までに三時間以上かかったのが原因だ。

あと少しで最寄り駅というところで、私は大事なことを思い出す。

「今日は“プッシュ”のトレーニング日じゃないか・・・」

本日のBGM:Safe And Sound / KYOSKE HIMURO feat. GERAED WAY

このBGMは、話の内容とは一切関係ありません。

ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです。

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