いつもと違うことをしたくなる私

私の日常

仕事中に、命の次に大切な”筋肉”にエサを与えようとしたら、常備してあったハズのプロテインバーが行方不明で、すぐさま自身に、「緊急非常事態宣言」を発動して、災害時に”自分だけが”生き残るために、机の奥にコッソリと隠して置いた”チョコレートビスケット”を机の上に置く。

瞬間、この世のものとは思えない、その輝きに思わず目をつぶってしまう。

ダイヤモンドなんて、比較にならない、

「世の女性たちも”チョコレートビスケット”を身につければより一層輝けるのに・・・」

“チョコレートビスケット”

それは究極のハイブリッド。

人間を堕落させるためだけに存在する”チョコレート”と、人間を幸せにするためだけに存在する”ビスケット”この二つが奇跡のタッグを組んだのだ、その美味しさたるや、

「ガッッッッッッデム!!!!!」

と、私の中の蝶野が絶叫するほどだ。

早速、箱を開けて内袋を破る・・・、否、一瞬その手が止まる。

この内袋を破るということは、もう後戻りできないことを意味する、つまり不可逆な行為だ、

「お前にその覚悟はあるのか?」

この袋の中には17枚もの”禁断の奇跡”が収まっているんだぞ、一度空気に触れてしまえば、その瞬間から、それは雪崩のごとく劣化しだしてしまう、つまり、開けてしまったら、ノンストップで全てを食べ切って終わないといけない、数枚残して後で、なんてことは許されない、一番美味しい状態で食べなければ”チョコレートビスケット”に申し訳ないだろう。

例えるならば、私のためにバッチリメイクをしてきてくれて、最高の自分を見せてくれた女性のメイクが崩れ始めた時にベッドに押し倒すようなものだ。

「どうだ?」

そんなの想像するだけでも萎えるだろう。

そういうことだ。

しかし、今、目の前の”チョコレートビスケット”を食するに当たってどうしても確認しなければならないことがある、それは、避けて通ることはできない。

スケベジジイが金で買った若い女性に、未成年かどうか確認するくらいに重要なことだ。

一歩間違えれば我が身を滅ぼしかねない。

どれどれ・・・一枚当たりのカロリーは、エネルギー29kcal、タンパク質0.5g、脂質1.4g、炭水化物3.8g・・・、え〜と、10枚で290・・・・・・・・・493cal!!!!

これは・・・、6枚切りの食パン約3.1枚分に相当するぞ、これを消費するには、私の現在の体重で考えると、普通の速度のウォーキングで、約2時間45分、ランニングなら・・・、いや、ランニングはしないからいいか。

そして、脂質が・・・10枚で14・・・・・・・・・23.8g!!!!!

ガッデム!!!

おいおい、私が1日に摂取できる脂質は約40gだぞ・・・、もう炭水化物に関しては、計算するのすら怖い。

ふぅ〜、さすがに”禁断の奇跡”だな、半端ないぞ、これは・・・、

しばし、私と”チョコレートビスケット”は、互いに視線を合わせたまま、無言の時を過ごす。

その間、私の脳内はフル回転で・・・、

「動くことはなかった」

“チョコレートビスケット”の前で、私の脳内は完全に思考停止に陥っていた。

私の乏しい恋愛経験でも、過去いちと言えるくらい、熱い視線を”チョコレートビスケット”に注ぐ。

こうなると、もう、目の前にエサを置かれて、

「待て!」

を命じらた犬の気分だ。

今なら、あいつらの辛さが痛いほど理解できる。

今後、もし、老い先短い私の人生で犬を買うことがあれば、決して、

「待て!!」

の躾はしないとここに誓おう。

その時、”Apple Watch”こと女王様は、大層ご立腹で、

「座りすぎだぞ、立て! この犬め!!」

と、私の手首越しに、振動という名のムチをくれる。(※1)

私は、すぐさま立とうとするが、今はそれどころではない、私は座ったまま、視線は

“チョコレートビスケット”から、1ミリもずらすことなく、垂らした左腕を歩いている時と同じように前後に32秒ほど振る。(※2)

すると、

「よしよし、いい子だ、やればできるじゃない」

と、女王様から、お褒めの言葉をいただく。

多少の罪悪感を感じながらも、もし、バレたらどんなお仕置きが待っているか、そのことを妄想すると・・・、

「身震いが止まらない」

そんなくだらないこどを考えていたら、”チョコレートビスケット”から、意識が逸れた。

「グッジョブ!」

と、ばかり私は、手首をひねって”Apple Watch”こと女王様の文字盤に視線を移す、が、私の不正がバレたのか、女王様はぴくりともしない、

「あれ?」

私は何回も、色々な角度で手を動かすが、”Apple Watch”は全く反応しない。

瞬間、心拍数が跳ね上がる。

もし、故障とかの、最悪の事態になったら、私の日常は崩壊しかねない、Digital Crownを押してみるが反応なし、サイドボタンも同様だった。

私は会社であることも忘れて、

「Hey・・・」

と、Siriを呼び出しそうになる。

もう、軽くパニックになっている。

“チョコレートビスケット”どころではない。

“Apple Watch”を外して、意味もなく裏面を見てみる、

「それで何がわかるのか?」

などと、考える余裕もない。

ここで、一端、”Apple Watch”を机に置いて、5秒間深呼吸をする。

少しだけ冷静さを取り戻したは”iPhone”を取り戻して、アプリを立ち上げる、が、

「ん?」

私はロック画面に”Apple Watch”のバッテリー容量を表示するように設定している。

もしや・・・私の予感が当たった、バッテリー切れだった。

どうして、バッテリー切れ?

などという疑問はどうでもいい。

私はカバンからモバイルバッテリーを取り出して充電を開始する・・・と、充電中の表示が出る。

「マジ焦った」

などと、独りごちる、と、

「!!!」

私は目の前の光景に呆然とした。

“Apple Watch”がただのバッテリー切れだったことに安堵した私は、無意識の内に”チョコレートビスケット”の内袋を開けていたのだった。

鼻腔をくすぐる甘い匂い、内袋から覗く黒と茶色の魅惑的なハーモニー、いや、もう、何言ってるか自分でもわからない・・・私は意を決して、

「・・・今日は急遽チートデーとする!!」

と、高らかに宣言をするのだった・・・、

そんな私の日常は・・・、

“チョコレートビスケット”の誘惑に打ち勝ったものの、勝負では負けた私。

本日のBGM : 安眠剤/ yutori

このBGMは、話の内容とは一切関係ありません。

ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです。

注釈

※1 “iPhone”には標準で”フィットネス”というアプリがあり、消費カロリー、エクササイズ、など体調管理に役立つものである。

その中にスタンドというのがあり、1時間に一回、立って、1分以上体を動しなさいというものだ。

50分間座ったままだと、知らせてくれる。

※2スタンドの裏ワザで、立たなくてもカウントされる。

会議中や、上司の長話に付き合わされている、と、いった状況で非常に役に立つ裏ワザだが、突然、腕を振るので、周りからは落ち着きのないやつ、と、思われかねないので注意が必要。

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