日々の疲れを癒す方法を模索する私

私の日常

仕事中に、どうしようもなく甘いものが食べたくなり、このままでは仕事に集中できないとの判断から、断腸の思いで仕事を中断すると、会社を飛び出す絵本して、自転車にまたがりコンビニへ向かう。大好きなシュークリームの棚の前で、その茶色い物体を眺めることしばし、冷静さを取り戻した私は、何も買わずにコンビニを出ると、心の中で自分を褒める・・・そんな私の日常は・・・、

私は一週間休みなく働いている。

平日は会社のために粉骨砕身する”社畜”として、そして、週末の土日は日雇い派遣に燃える”派畜”として、老体にムチを打って戦っている。

もちろん、一年365日働いているわけではない、年に5日ほどの休みは取っている。

それ以外は、働き詰めだ。

「我ながら、よく体が持つな」

と、日々、自分を褒めている。

しかし、ここ数ヶ月、体の負担が大きくなっている。

原因はハッキリしている・・・言うまでもなく、

「”筋トレ”だ!!」

だからといって”筋トレ”をやめることなど出来ない・・・、

「いや、やめることなど考えもしない」

今の私にとって”筋トレ”はただのトレーニングではない。

「長年に渡り、のんべんだらりと生きてきて、何者にもなれず、かといって、何かを達成したわけでもない、そんな負け組まっしぐらの私が、体だけでも変えれる最後の手段に他ならない」

何もボディビルダーのような”ガチマッチョ”を目指しているわけではない、

「腹筋が見えるくらいまで体脂肪を落とし、バキバキの腹筋にして、たくましい胸板に、見事なまでの逆三角形の背中・・・」

あれ?

何だろう、軽くめまいが・・・、

とにかく、先は長いが努力すれば必ず変われる。

「筋肉は決して裏切らない!」

しかし、体が悲鳴を上げ始めている現実を受け止めなくてはならない。

すぐに思いつく解決策は三つ。

1.日雇い派遣の仕事を減らす。

2.”筋トレ”のメニューを軽めにする。

3.マッサージや整体などに行き、体の負担を減らす。

・・・、

・・・・・・、

「1.は却下だ!!」

毎月のサプリ代だけでも幾らかかると思っているんだ、今でもカツカツなのに、これ以上収入を減らすなど論外だ!

次に・・・、

「バカが、却下に決まっているだろう!!!」

幼稚園児の体操とは訳が違うんだぞ、筋肉は追い込んでナンボなんだ、負荷を上げても下げるなどあり得ない。

それでは、

「だから、毎月のサプリ代でもカツカツなのに、これ以上出費を増やせるか!!」

しかし、これでは手詰まりになってしまう。

・・・、

・・・・・・、

・・・・・・・・・、

「妄想さん、苦戦しているんですか?」

不意に声をかけられて、我に返ると、そこには言葉とは裏腹の笑顔を浮かべている、”スリーパー”(三年寝太郎)の姿があった。

「ちょっと、手詰まり感があって・・・」

と、心情を吐露してしまう。

「誰かさんと違って、妄想くんは、手を抜くってことができないから・・・」

と、”チャールズ皇○子”(数々の女性遍歴を持つ頼りになるニキ)が会話に割って入ってくる。

二人のやりとりを横目に、私は何か大きなヒントを得たような気がして・・・、

あっ・・・、

「そうだ、会社の仕事を減らそう」

と、JRのCMみたいな言い回しで、ナイスなことを思いつく私。

なんだ簡単なことじゃないか、どうして気づかなかったんだろう。

固定概念に囚われていた自分に、

「私もまだまだだな、反省をこめて、今日は腹筋メニューマシマシでいこう」

と、頭の中もすっかり筋肉になってしまっている。

そうと決まれば話は早い。

私は、二人を放置プレー状態にしたまま、今、自分が抱えている仕事を再確認する。

パソコンの画面を見る私の顔は、多分、相当にニヤついているに違いない。

そう、私が抱えている仕事で、急ぎの仕事は一件だけで、その仕事も、この後三十分の”ウォーキング”をして、軽めの”筋トレ”を挟んでも今日中には終わらせられる。

次の仕事から、大幅にマージンをとったスケジュールを組んで、仕事の負荷を減らせばいい。

「そんな勝手が出来るのかって?」

「出来るんだな、これが」

私はいわゆる”ワンマンアーミー”というやつで、定例的な仕事以外は、

「自由裁量」

を与えられている。

私の仕事は特殊性のある仕事のため、社内でも出来る人間が限られている。

まぁ、ちょっとおおげさだが、要は専門知識と経験が必要な仕事と思ってもらえれば間違いない。

会社には、定期的に仕事内容及び、進捗状況を報告しているが、長年の私の、

「真面目な仕事ぶりがモノを言い」

毎回、上司からは、

「いつも任せっきりで悪いね、だけど頼んだよ」

の一言で終いだ。

話を戻すと、問題は、どうやって体を休めるかだ。

仕事の負荷は減らせても、机に座っている以上、体は休まらない・・・、

あっ!

「書庫があるじゃないか?」

私は、不意に浮かんだそのアイデアに歓喜して、思わず”禁断の非常食”(※1)に手を伸ばしそうになる。   

いかんいかん、私は自分を戒める。

まだ、話している二人を残して、席を立つと、どれどれ、

「下見を兼ねて、早速、体を休めよう」

などと、スキップでもしそうな上機嫌で書庫に向かう。

書庫に入ると、移動式のラックが視界を覆う。

このラックが全部で、30台もある。

壁側には長机が並べられていて、資料を見るのに利用されている。

私のお目当ては、もちろん一番奥の長机だ、奥に行くに連れて、嫌な予感がして、少し不安な気持ちになる。

人の姿は見えない、が、私の不安はどんどん増していく。

もう、ハッキリと、奥が見渡せるところまで来たが、誰もいな・・・、

「!!!」

何と、一番奥の移動ラックのところに人影が、すると、私の足音に気づいたのか、ラックから顔を覗かせる。

瞬間、

「フマキラー!!」

と、心の中で絶叫する。

その男性は、他部署の社員で、私と同様の仕事をしている。

私たちの間では”ブラックリスト”の上位に名を連ねる人物で別名”フマキラー”と呼ばれている。

“フマキラー”は、外注に厳し過ぎて、これまでに10人以上の外注さんが逃げ出している、その実績から、

「外注駆除=”フマキラー”」

のあだ名がついた。

「おつかれ、あっ、妄想さん○○の方は順調ですか?」

「まぁ、合間を見てちょこちょこやっています」

「いや、べつに急かしている訳じゃないからね、でも、来年中くらいには、終わる?」 

「まぁ、幾つか大きな仕事があるので・・・」

「そんなこと言って、終わるんでしょう?」

ウゼェ、元々、そっちがやらなければならない仕事を、

「予算が〜」

とか言ってこっちに押し付けたんだろう、だったら、終わるまで大人しく待ってろ!

私は、心の中で散々罵倒すると、適当にファイルを手に取り、早々に退散する。

「ガッッッッッデム!!」

席に戻るなり、私の中の蝶野が暴れ出す。

この怒りをすぐさま”筋トレ”で発散することにして、翌日、再トライするも、

「”フマキラーーーー”」

と、またしても絶叫する羽目になる。

こうなると、

「意地でもここで休憩してやる!」

と、ムキになる私。

しかし、毎日”フマキラー”はいる。

おかしい、

「今日で3日連続だぞ」

さすがに、毎回、必要のない資料を持ち出すわけにはいかないので、調べるのが面倒くさくて一生寝かせて置こうと思っていた仕事の資料を、ついでに探すことにする。

これこそまさに、

「一挙両得」

と、いうものだ。

できる男とは、こうありたいものだ。

なとど自画自賛をしていると、

「妄想さん、○○の資料を調べているんだよね」

と、声がする。

顔を上げるまでもない”フマキラー”だ。

「こっちも、それに関連する資料を探しているんだけど、見つからないんだよね、見つかったら、教えてくれる?」

そう言うと”フマキラー”は、私の肩を軽く叩いて書庫を出ていってしまう。

「ん?」

・・・、

・・・・・・、

「やりやがったな!」

瞬間的に、移動式ラックを蹴りたい衝動に駆られるが、すんでのところで踏みとどまる。

この、やり場のない怒りを抑えるために、一旦、席に戻ると、”フマキラー”が係長と何やら話をしている。

そして、私の姿を見た途端、足早に去って行く。

その後ろ姿を見ながら、何か違和感を感じる私だが、

「妄想さん、助かります」

と、いきなり係長が話しかけてくる。

何のことか分からず、首を傾げる私を無視して、

「〇〇の件、仕事の合間を見て、妄想さんがやってくれるって聞いたよ、本当に助かりますよ。正直、アイツのところに任せていたけれど、アイツいつまで経っても、手をつけてないみたいだから、どうしたものか、と、思っていたら・・・」

そこから先の係長の話は、正直耳には入ってこなかった。

とてもじゃないが、ここには書けない、罵詈雑言を心の中でずっと呪文のように唱えていたからだ。

結局、放置して置いても、私には何の責任もない仕事を自ら掘り起こした挙句、芋づる式に仕事を増やしてしまったのだ。

しかも、

「期限付き」

と、いう嬉しくもないオマケまでついてきてしまった。

「フ・マ・キ・ラー!!!!」

まさに外注殺しの異名は伊達ではない。

いや、私は同じ社員だ、今度は社員殺しにまで手を染めやがったか!

怒りの余り、拳を握る私の体は小刻みに震えている。

翌朝、疲れた体を引きずるようにして、いつものコンビニへと入る。

「もう、栄養ドリンクの力を借りるしかない」

それしか今の私に残された選択肢はなかった。

“余計な出費”と”無駄なカロリー”は抑えたいが、

「背に腹はかえられぬ」

一番安いドリンクなら150円くらいで買えるはずだ。

と、その時、私の目に飛び込んできたのは、

「モンスターエナジーゼロシュガー!!!!!」

私は、我が目を疑った。

筋トレを始める前はよく飲んでいた”モンスターエナジー”だが、筋トレを始めてからは、飲み物でカロリーを摂取したくないとの理由から、飲むのを諦めていたのだが・・・、

「まさかのゼロカロリー!!!」

私は思考停止状態で”モンスターエナジーゼロシュガー”を手に取ると、体が勝手にレジに向かっていた。

コンビニを出て、私は微かに震える手でプルタブを引っ張ると、鼻の奥に懐かしい香りが飛び込んでくる。

「お前はアル中か!!」

と、いうような勢いで、一気にひと缶を飲み干してしまう。

瞬間、体のダルさが和らぎ、体に力が漲るのを感じられた。

その日から、私は毎朝、

「モンスターエナジーゼロシュガー」

を飲むようになってしまう。

おかげで、毎日230円がすっ飛んで行く。

これも全て”フマキラー”のせいだ。

それから、一週間ほど経った頃、

「妄想さん、注意した方がいいですよ」

と、背中越しに声がする、振り返るまでもない”フマキラー”だ。

“フマキラー”は机の上に置かれた”モンスターエナジーゼロシュガー”を指差して、

「コレ、体にあまり良くないって、テレビで言ってましたよ」

瞬間、私の中で何かが弾け飛んだ。

「誰のせいでコレを飲んでると思っているんだ!!」

そう言って、私は勢いよく立ち上がると、乱暴に”フマキラー”の胸ぐらを掴む・・・、

妄想をする。

「大丈夫ですよ、カロリーオフだし、一日一本しか飲んでないですから」

「そう、別に仕事を頼んでいるから、心配してるんじゃないよ、妄想さんに倒れられたら、〇〇課の仕事が止まってしまうからね」

いや、ゼッテー違う。

その証拠に、

「〇〇さん、〇〇までポケモン取りに行ってきたよ」

と、満面の笑みでゲットしたポケモンを”ポケモンGO”仲間に見せびらかしてる、その後ろ姿からは、私のことなど一ミリも心配してないのが手に取るようにわかる。

数回の深呼吸で、やり場のないこの怒りを抑え込むと、空の”モンスターエナジーゼロシュガー”を手に取りゴミ箱に捨てると、そのまま社内自販機で、もう一本”モンスターエナジー”を買ってしまう。

明らかに過剰にカフェインを取り過ぎなのはわかっているが、

「今日だけだ」

と、自分に言い訳をする。

ここにきて、ようやくわかった、

「”フマキラー”をどうにかしなければ、私に安寧の日が訪れることはない」

と、いうことを。

次回、

「激闘”フマキラー”掃討編」

お楽しみに・・・、

「なんてな」

そんなことを考えながら、ふとっ、自販機に目をやると・・・・・・、

「、?、、?!、、!!!!」

私は、手にした”モンスターエナジー”を恐る恐る見る・・・と、

「・・・ゼロシュガーじゃねぇ!!!!!」

私の心の絶叫は、半径5キロ圏内に響き渡った・・・。

本日のBGM : #YOLO/ AYANE

このBGMは、話の内容とは一切関係ありません。

ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです。

注釈

※1.”禁断の非常食”

11.いつもと違うことをしたくなる私を参照

※2.だいぶ前に発売されていたらしいが、全くその存在に気づかなかった。

コメント