駅の駐輪場で紳士的な行動をとる私

私の日常

仕事中に”Amazon”でプロテインを買おうとして、席を立ち外に出たが、打ち合わせから戻ってきた上司に捕まり、そのまま会議室に拉致監禁されてしまう・・・そんな私の日常は・・・、

私は自転車で駅と会社の往復をしているので、駅前の有料駐輪場を利用している。

そこの駐輪場は、自転車の出入りは「専用のカードキー」でゲートを通るようになっていて、人だけの出入りはゲートの横を通るようになっているのだが、これが何気にネックで、人が一人通るのがやっとの幅で、オマケにS字クランクになっているので、体重100キロ位の人だと、体の向きを調整しないと通ることができない、実際に誰がどう見ても太っている男性がS字クランクで、身動き取れなくなっているのを見たことがある。

それは、ちょっとした衝撃映像だった。

男性は、タスキに掛けたカバンを手に持ち変えて、どうにか脱出した。

その光景は何故か感動的で、まるで穴に挟まった動物をみんなが必死になって助けて出す、そんな感覚だった。

その証拠に、私は男性が通路を出た瞬間、思わず拍手しそうになってしまったほどだ。

少し話が脱線してしまった。

とにかく、そういう場所なので、出入りが被った場合は、自然とどちらかが譲り合って通ることとなる。

これが結構頻繁にあるから困る。

私は朝が早いので、行きは問題ないのだが、帰りが問題で、学生やら、帰宅する会社員とまともに鉢合わせしてしまう。

そして、この日もそうした事態になった。

いつもより、ちょっとだけ、遅れて駐輪場に着いた私だったが、それでも電車の時間まで、まだ6分ほどの余裕がある。

ちなみに、駐輪場から駅のホームまでは、2分程かかる。

問題の通路に差し掛かった時、まさに、通路に入ろうとしている、OL風の女性の姿を見つけて私は、ジェントルマンよろしく、OL風の女性が先に通れるように立ち止まる。

すれ違う時、OL風の女性は、輝くような笑顔で軽く会釈をして通り過ぎて行く・・・ように私には見えた。

ほのかな残り香に、一瞬、ほんわかした気分になり、一歩踏み出そうとした足が止まる、

今度は3歳くらいの子供を連れた主婦が、通路に差し掛かる、一瞬、向こうが躊躇した様子を見せるが、私は手振りで、

「お先にどうぞ」

と、合図する。

子連れの主婦は、一礼して通路を通り、すれ違う時に、

「ありがとうございます」

と、再度、丁寧に頭を下げる。

こちらが恐縮してしまうほど丁寧な対応に、私も一礼する。

そんな私に、

「バイバイ」

と、子供が手を振る。

その純真無垢な姿に、思わず目頭が熱くなるが、ギリギリのところで何とか持ち堪える。

ちょっと、照れ臭かったが、子供に手を振り返すと、まるで、長年に渡り体にこびりついた澱のようものが、綺麗さっぱりと洗い流されたような気分になった。

まさに、リボーン、生まれ変わった気分だ、

大事なことなので、2度言ってみた。

心穏やかに、

「よし、帰ろう」

と、足を踏み出そうとした、瞬間、

「ガッッッデム!!!」

私の心の中の蝶野が叫んでいた。

次から次へと、遠慮知らずな連中が入ってくるではないか、長蛇の列の向こうに、遠ざかる電車が見える。

「あの電車の乗客か・・・」

まるで、蟻のように列をなす人達、私はなすすべもなく、通り過ぎて行く人達を見送ることしか出来なかった。

何か悪いことをしたわけでもないのに、どうしてこうもいたたまれない気持ちになるのだろう。

入って来る人たちの中には、私に申し訳ないと感じているのか、私の方を見ずにそそくさと通り過ぎて行く人たちもいる。

まぁ、この我先にみたいな状況では、自分が立ち止まって、私に譲るというのもハードルが高い感じがする。

その気持ちは十分に理解できる、が、それで私が取り残されたようにポツンと突っ立っていなければいけないのは、どうにも納得がいかない。

などと、そんな取り止めのないことを考えてしまうほどに時間が経っている。

さすがに、電車の時間が気になってくる。

と、その時、私と同年齢くらいの勇気ある男性が立ち止まり、私を通してくれた。

「グッジョブ」

と、心の中で親指を立てる。

私はすれ違いざま、輝くような笑顔で会釈をするが、男性はこちらには目もくれず、さっさと行ってしまう。

「ガッ・・・」

イヤイヤ、通してくれたのだ、何も言うまい。

「やれやれ」

と、電車が到着する、1分前にホームのいつもの定位置に着いて、安堵する私だったが、まさにその時、

「ただいま、強風の影響で上り線、15分遅れで運行しております、乗客の皆さまにはご迷惑をお掛けします、到着まで、今、しばらくお待ち下さい」

「ガッッッッッッデム!!!」

本日のBGM : かくれんぼ/ AliA

このBGMは、話の内容とは一切関係ありません。

ただ、書いている時に聴いていた、というだけのことです。

コメント